研究成果
1) 日本版SDQの因子構造、信頼性、妥当性
4-5歳児についての親評定および教師評定SDQについて1)、7-15歳についての親評定および教師評定SDQについて2)、オリジナルと同様、5因子構造が示され、高い信頼性と妥当性が示されました。
2) 子どものメンタルヘルスの問題の指標(研究)
メンタルヘルス全般、情緒の問題(内在化行動)、行為の問題および多動・不注意(外在化行動)についての指標として、国際的に最もよく用いられています。日本の子どもを対象としたものでは、発達障害特性との関連3,4)、気質と発達障害特性との関連5)を調べたものがあります。
森脇ら3)は、全国データから、自閉症特性が高い児童はメンタルヘルスの問題をより持ちやすいことが示しました。Saitoら4)は、幼児の自閉症特性が高いことは、就学後の「友人関係の問題」や「情緒の問題」といったメンタルヘルスの問題のリスクを予測することを示し、就学後のメンタルケアの必要性の予測指標として就学前の発達アセスメントが大切であることを強調しました。Kamioら5)は、就学前の発達アセスメントに加え、子どもの気質特徴が就学後のメンタルヘルスの問題と関連することを示しました。
参考文献
1) 飯田悠佳子, 森脇愛子, 小松佐穂子, 神尾陽子:わが国の就学前幼児(4-5歳)における保護者及び担任評定にもとづくStrength and Difficulties Questionnairenの標準化. 平成25年度厚生労働科学研究費補助金 障害者対策総合研究事業 精神障害分野「就学前後の児童における発達障害の有病率とその発達的変化:地域ベースの横断的および縦断的研究(研究代表者:神尾陽子)」総括・分担研究報告書,pp33-41,2014年3月. [ PDF ]
2) Moriwaki A, Kamio Y (2014). Normative data and psychometric properties of the Strengths and Difficulties Questionnaire among Japanese school-aged children. Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health.2014, 8:1.doi: 10.1186/1753-2000-8-1 [ PDF ]
3) 森脇愛子, 神尾陽子(2013). 我が国の小・中学校通常学級に在籍する一般児童・生徒における自閉症的行動特性と合併精神症状との関連. 自閉症スペクトラム研究, 10 (1), 11-17.
4) Saito A, Stickey A, Haraguchi H, Takahashi, H, Ishitobi M, Kamio Y (2017). Association between Autistic Traits in Preschool Children and Later Emotional/Behavioral Outcomes. J Aut Dev Disord, 47(11):3333-3346. DOI: 10.1007/s10803-017-3245-7 [ PDF ]
5) Kamio Y, Takei R, Stickley A, Saito A, Nakagawa A (2018). Impact of Temperament and Autistic Traits on Psychopathology in School-Age Children. Personality and Individual Differences, 124, 1 April, 1-7. Doi.org/10.1016/j.paid.2017.11.034 [ PDF ]